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公開日:令和元年10月28日
郷土守山に学ぶ研修講座Ⅳ もりやまの日本遺産への旅 慈眼寺と近江ケンケト祭り・長刀振りの鮒ずし切りの神事
日時:令和元年10月18日(金)午後1時30分から午後4時まで
コース:エルセンター→慈眼寺(吉身)→さづかわ交流センターにじいろ(幸津川)→エルセンター
講師:守山市ボランティア観光ガイド協会会員さん
研修講座内容: 日本遺産に認定された慈眼寺、近江ケンケト祭り・長刀振りの鮒寿ずし切りの神事について説明を受け、地域の歴史遺産について学ぶ。
平成27年5月、守山市内の文化財4件が日本遺産に認定されたことを受け、守山市文化財保護課の職員さんへ取材をしました。
Q日本遺産ならびに市内に所在する構成文化財4件の日本遺産認定の経緯と特徴について聞かせてください。
A 日本遺産は、平成27年から文化庁が実施している取り組みで、地域の歴史的魅力や特色を、日本の文化・伝統を語るストーリーであるとして国が
認定する制度です。
・地域の活性化が目的。
・指定文化財の場合は、価値づけを行い、保護を担保することが目的ですが、日本遺産は、保全 新たな規制を図ることを目的としたものではなく、地
域に点在する遺産を「面」的に活用し、発信していくことを重要視しているところが特徴です。
・平成27年4月に日本遺産「琵琶湖とその水辺景観―祈りと暮らしの水遺産」が認定されました。
・認定後もこれまで日本遺産「琵琶湖とその水辺景観―祈りと暮らしの水遺産」のストーリーを構成するもの(構成文化財という)は、積極的に追加
認定しています。
・構成文化財は現在36件。
・構成文化財が所在する市は現在10市。(大津市・草津市・守山市・野洲市・東近江市・近江八幡市・彦根市・米原市・長浜市・高島市)
・琵琶湖周辺に点在する無形・有形等の文化財をグループ化して、地域が主体的、総合的に整備・活用する取り組みを行っています。
・ストーリーの構成要素は「水と暮らしの文化」、「水と祈りの文化」、「水と食の文化」。であり、平成30年5月に上記のストーリーを構成するも
のとして守山市内から4件の文化財が追加認定されました。
・慈眼寺(水と祈りの文化)、近江のケンケト祭り・長刀振りの鮒ずし切りの神事(水と祈りの文化)、大庄屋諏訪家屋敷(水と暮らしの文化)、守
山の湧水とホタル(水と暮らしの文化)
・日本遺産における個別の価値については、下記を参照してください。
守山の湧水とホタル (ほたるの森資料館 守山市三宅町10番地 ℡077-583-9680) |
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野洲川が運んだ土砂で形成された沖積平野の至る所で豊富な伏流水が湧き、その水は農業や生活に利用されてきました。清らかな湧水は、多くの生き物が生息。特にゲンジボタルは大正13年第1号の国天然記念物に指定されていました。一度は水環境の悪化により絶滅しましたが「ホタルのよみがえるまちづくり事業」により復活。清らかな水と共に市民の暮らしに溶け込んでいます。 |
大庄屋諏訪家屋敷 (守山市赤野井町171番地1 ℡077-516-8160) |
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近世に大庄屋として活躍した諏訪氏の屋敷。古くから琵琶湖に向かう水路網が発達しており、敷地には舟入が残り、水運盛んな往時の姿を今にとどめています。また、一帯には地名ともなる水施設、川端かばた もあり水の暮らしを示しております。なお、有料で文化財施設への入場が可能です。 |
近江のケンケト祭り長刀振りの鮒ずし切りの神事(守山市幸津川町1356番地 下新川神社 |
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下新川神社の春の例大祭「近江のケンケト祭り長刀振り(すし切りまつり)として行われる神事。祭りは裃姿の若者が、真箸と包丁で鮒ずしを切り分け、神饌として神に献上します。ご祭神の崇神天皇の皇子、豊城入彦命が湖西よりこの地にお渡りになられた時に、鮒の塩漬けを焼いてさしあげたことが由来で、湖国の伝統食鮒ずしが、祭事に引き継がれています。 |
慈眼寺 (守山市吉身一丁目7番30号 ℡守山市文化財保護課 077-582-1156) |
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本尊は秘仏「帆柱観音」。最澄が入唐にゅうとう 求法ぐほう の旅を終えて船で帰国する際、嵐に見舞われた時に危機を救ったことから、航海安全に利益のある仏として信仰を集めています。薬師如来坐像も海神である住吉神とのかかわりもあり、水の世界の教主として水の祈りの信仰対象となっています。 |
Q 今後の守山市の文化財保存・活用についてお聞かせください。
A 今年4月に改正文化財保護法が施行され、今までの文化財保護行政の在り方が変わりつつあると認識しています。
文化財保護行政としても、指定し、保護するということに加え、さらに活用していくことが重要視されていると認識しています。その活用について
は、必ずしも指定文化財に限らず、未指定の文化財も含まれ、また今まで地域に点在した文化財を本市の歴史を物語るものとして、わかりやすくス
トーリーを構築して「面的」に活用し、街づくりを行っていくことが一つの重要なあり方と考えています。
その取り組みの一例が日本遺産であると思われ、これを一つの好機として、国内外に発信していきたいと考えています。
また地域のコミュニティ力が低下している現在、地域の文化財を保存活用していく担い手として 具体的には市民の方を中心としたヘリテージ・
マネージャーの養成なども重要であると認識しており、この点についてもあわせて考えていく必要があると考えています。
※ヘリテージマネージャー
ヘリテージマネージャー(地域歴史文化遺産保全活用推進委員)とは、地域に眠る歴史文化遺産を発見し、保存し、活用して、地域づくりに活かす
能力を持った人材のこと。
受講生の声
・守山に住んで40年になる。定年退職し、守山の市民新聞や広報で、自分でも参加可能な行事を探してみた。人生の半分以上を守山で過ごしている。
守山の地域のことを初めて見る一日となった。
・身近にある寺々、毎回楽しみに参加している。知らないところばかりで勉強になる。講師の一歩踏み込んだお話は毎回楽しみにしている。いつまでも
お元気で明るい声を聞かせてください。
・地域学習で今回は慈眼寺、鮒ずし切りの神事でした。名前は聞いていたが現地見学で新しいことを学んだ。家に帰って資料を読み直し学習したいと
思う。
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